秘境食堂
2017年1月31日
買物に行くのも面倒なので、冷蔵庫の残り物で鍋をした。豆腐とモヤシとネギと鶏肉、あと大根。餅が冷凍室で眠っていたので、これも追加した。
少し前に職場で話したことを思い出して笑った。
その話とは、このアパートで居酒屋を開くというもので、その日のボクの夕食がメニューで、せいぜい三人ぐらいまでで、営業時間は2時間とか3時間。
「ええ、それって、一緒にご飯を食べるだけですよね」
「まあ、そうなるかなあ」
「営業許可おりますか?」
「う~ん、六畳一間のアパートだからなあ・・・」
「・・・・・・」
「料金なんてタダみたいなもんだし」
「でも、密室で、差し向かいなんて、怖くて誰も来ないですよ」
「う~ん、それもそうだけれど」
「タクシー運転手が来たりして」
「会社の人たちばかりだと、なんだかヤダなあ」
「で、普通のご飯だし」
「普通というか、オヤジ飯?」
なんだか楽しそうだと思ったのだけれど・・・。
「お客さん、今日のメニューは冷蔵庫の残り物鍋なんですが」
と、お客と差し向かいで、ボクもその鍋をつつく。やっぱダメか。なんて笑った。
「きっと、怖がって誰も来ないですよ」
「そんなことないよ、ネットなんかで宣伝して、秘境食堂、とか」
「遭難しそうですね」
「そんなことないって、もう食べログとかに流しまくる」
「若い女性とか来ますかね?」
「間違って来る場合もあるだろう」
「ええ~、間違ってって」
「遭難食堂」
「さらに恐怖ですよ」
寒い夜に、ひとりで、そんなことを思い出して笑っている。ガラス窓曇りさらに夜を閉じ込める。
デニーロのタクシードライバー、何度か見ましたよ。まあ、たしかに、カッコいいかなあ。
タクシードライバーという映画は観ましたか?
カッコいいですね、漢の中の漢。
憧れの職業です。