タクドラの夕暮れ、かわいいオレには旅をさせろ
タクドラの夕暮れ、なんかパラダイスの夕暮れみたいだけれど、リタイヤ後、老後の話。
「将来?この先、ちょっと早めにリタイアして元気なうちに四国や西国を巡礼して、東海道とか奥の細道とかを歩いて回るのが目標かなあ」
なんてGさんの質問に答えた。「それも野宿とかでね」なんて付け加えたら、少し驚いたようなため息をついた。そして少しだけボクの野宿論みたいなものを話した。
タクドラの夕暮れ
でも、こんな清潔な生活をしていると、もう土の上では眠れないんじゃないかと思ったら哀しくなった。土の上どころかアジアやアフリカの安ホテルには泊まれないんだろうなあ、歳を取るってことは、そういうことなのかもしれないと、思った。
この部屋の構造にも問題があって、畳がない生活というのは、きっと土から人を遠ざけてしまうのだろうと思う。なんだかヘンテコリンな床とか、車の中とか、椅子の上の生活なんてのは、人の動物としての本能を失わせる。畳とか木なんていう自然の物に触れる生活をしなければ、それはどんどんと加速されて、無菌状態の、そして無臭状態の空間でしか呼吸が出来なくなってしまう。
「ニオイは大切」なんてGさんが言った。
「まあ、確かにね、ニオイで仲間とかをかぎ分ける能力ってのがあれば、『あ、こいつは裏切らないな』なんてわかるんだろうしね」
大麻で捕まったナチュラリストも、たぶん、化学物質で頭痛を和らげるよりは、自然に生えている大麻で、それも綺麗な花の部分でいっぱつ決めたほうが良いに決まっている、なんて考えたんだろうけれど・・・。そしてそれは無農薬野菜なんてものを食べる延長線上にあったのだろうけれど・・・。
「あ、これは私を裏切らないな」なんてきっと覚醒したのだろうね。
早めのリタイヤにしろ、そんな自然な生き方にしろ、必要なのはお金で、そのお金を稼ぎだす力だったり、自給自足で補う力だったりするんだろうね。
死ぬ時期と生きる長さ
「あらかじめ死ぬ年齢が分かっていればいいんだけれど」
「どうして?」
「だって、逆算できるしね」
「なんの?」
「死ぬまでの予算」
「ああ、なるほど。でも思わぬ出費とか急病とかは?」
「保険とか高額医療費とかで・・・」
「・・・・・・」
「まあ、とりあえずは、長生きしないって前提で、早めのリタイヤなんだよ~」
「ふ~ん」
「そう、かわいいオレには旅をさせろ、って昔の人も言ってるしさ」
「ふ~ん、言ってないと思うけれど・・・」
「言ってるの」
11月、秋だね。
栗よりうまい十三里。芋ごはんできたよ。