安楽寺のムクノキ(2) – 惣門に息づく「悠久のムクノキ」

蒲郡市清田町に位置する安楽寺は、徳川家康の生母・於大の方の再婚相手である久松佐渡守俊勝の菩提寺として、深い歴史を刻んできた名刹です。その歴史の重みを象徴するように、境内には「蒲郡の名木50選」に数えられる二本のムクノキが根を張っています。なかでも「ムクノキ(2)」は、惣門西側の塀沿いにどっしりと腰を据え、訪れる人々を包み込むような情緒豊かな佇まいを見せています。

対照的な美を放つ、二つの巨躯

同じムクノキでありながら、二本の名木はそれぞれ異なる個性を放っています。北部小学校正門前の「ムクノキ(1)」が天を衝くように高くそびえ立っています。それに対し、この惣門脇の「ムクノキ(2)」は、こんもりと豊かに葉を茂らせているのが特徴です。高く真っ直ぐな力強さと、横へ豊かに広がる優美さ。対照的な二本の巨樹が共鳴し合うことで、安楽寺の聖域にはいっそう重厚な格調が加わっています。

失われた巨樹の記憶を継ぐ、命のバトン

かつてこの山門前には、根回り6.6メートルにも及ぶ、さらに巨大な伝説のムクノキが存在していました(写真)。昭和の終わり頃までは、石碑の傍らで松の木と対になり、門前を荘厳に彩っていたといいます。残念ながらその巨樹と松はすでに姿を消しています。そして現在は、切り株やイチョウが往時の名残を静かに留めるのみとなりました。今ある二本のムクノキは、失われた古木の記憶をもその年輪に刻み込みながら、令和の今も安楽寺の静寂を守り続けています。

  • 樹種 ムクノキ(ニレ科)
  • 幹周 2.61メートル
  • 根回 3.80メートル

安楽寺のムクノキ(2)の画像

外側からだと足場が悪いのと、なんだか分かりにくいので、境内からの見学をおすすめします。

蒲郡の名木50選マップ

Googleマップ 安楽寺のムクノキ(2)

駐車場は惣門前にあります。ここから、山門をくぐると正面が本堂です。山門の東側にあるのが塔頭のひとつ日曜院です。日曜院境内にあるマツも名木50選のひとつです。日曜院の北側の道を東に進むと鵜殿坂、ちょうど安楽寺のムクノキ(1)が見えます。

安楽寺のムクノキ(1) – 蒲郡の旅
安楽寺と日曜院のマツ

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