昭和天皇・香淳皇后両陛下御野立所 – 御津町
この「昭和天皇・香淳皇后両陛下御野立所(おのだちしょ)」は、昭和32年(1957年) の両陛下のご訪問を記念して整備された場所です。現在は松や桜が植えられた庭園として、地域の歴史を静かに伝えています。
台風災害からの復興をご視察
両陛下は昭和32年4月11日にご来訪されました。これは、昭和28年(1953年)9月25日に発生し、この地域に甚大な被害をもたらした台風13号からの海岸堤防復興の状況をご視察されることが目的でした。
当初は海上からのご視察が予定されていましたが、天候不順のため陸路でのご視察に変更されました。
昭和28年台風13号の記録
この台風は最低気圧が957hPa、伊良湖で最大風速39.9m、名古屋港で最高潮位2.27mを観測した大型台風であり、三河地方に深刻な爪痕を残しました。
皇室による継続的な激励
御野立所の記念碑には、昭和32年の両陛下の行幸啓に加えて、他の皇族方のご訪問についても記されています。
昭和天皇・香淳皇后両陛下御野立所の碑文には、次のように記されています。
- 天皇皇后両陛下 昭和三十二年四月十一日 行幸啓
- 皇太子殿下 昭和三十年三月三十一日 行幸
- 清宮貴子内親王 昭和三十一年四月五日 御視察
碑文が示すように、被害発生後、皇族方が毎年この地を訪れられたことは、当時の災害の甚大さと、それに対する皇室からの深い関心と激励があったことを物語っています。地元の人々は、両陛下の行幸啓を大変光栄に感じ、復興への大きな力とされたことでしょう。
この時の様子が「天皇皇后両陛下をお迎えして」という映像で公開されています。愛知県広報広聴課 -あいちインターネット情報局

昭和天皇・香淳皇后両陛下御野立所の画像
また、道路を挟んで、海岸復興記念碑が建てられています。その碑文には次のように記されているそうです。1
[…]今日の復興をみるに至た去る昭和32年4月11日には天皇皇后両陛下この地に親臨され未曽有の大事業たる海岸堤防復興の状況を審さに御視察遊ばされた翠に両陛下の行幸啓を記念し海岸復興の碑を建て永く県土守護の象徴とする昭和32年10月
この近くには、持統上皇行在所伝承地があります。また、 万葉集に詠まれた「引馬野」「安礼の崎」の伝承地でもあります。それに、ここ御津という地名は、孝元天皇東国行幸の折に乗っていた船を寄せたことに由来する、そんな場所です。そして今も少し、その面影を残す、御津町の御野立所です。


