エッセンシャルワーカーですか?
一律10万円支給で喜んでいる人が多いボクのまわり。本当は30万円の支給要件にギリギリの人も多くて、少し冷静に考えられるようになった現在では「やっぱ支給要件を緩和しての30万円が良かったじゃんね」とい人も多い。
とにかく皆さんが考えているより営業収入の減少はひどい。件の雇用調整助成金は従業員への賃金補填なので、会社は、出庫させても赤字、休業させても赤字。とにかく日々赤字なのだ。
公器としての使命
事故のリスクや、燃料費、管理費を考えると、全社休業をした法人タクシーのほうが賢明といえば賢明なのだけれど、公共交通機関という名の下に国から認可され、岩盤規制で守られているボクたちだから、なかなかそこまで踏み切れない、というのが、大手タクシー会社や地方のタクシー会社の状況なのだろう。いや、経営者の考えなのだろう。
公共交通機関の一員と言えば聞こえはいい。しかしタクシー運転手男性と全産業男性労働者の賃金格差は210万円と大きくひらいている。さらに労働時間は156時間も長い。キツクテ、キケンデ、コロナニオビエル、3K職場なのだ。エッシェンシャルワーカー、耳障りは良いけれど、実はそんな仕事。
エッセンシャルワーカーじゃないの?
そんな労働条件の中、そして今回の新型コロナ禍の最中において、ボクたちはエッセンシャルワーカーなんて称号も与えられた。はずだった。でも、Googleのロゴにもバス運転手やトラック運転手はあっても、ボクたちの姿は見つけられない。なんだか寂しい。
グーグルロゴ エッセンシャルワーカー
いや、その公共交通機関をバスが代表しているんだと。そう納得しては・・・・・・さらに寂しさが募る。
いやいや、感謝されなくてもいいんだ。こんな状況下で、全員解雇したり全社休業したりできる、なんだか変な業界なのだ。きっと世間も「変だ」思っているにちがいない。そうすることが、従業員のためだとしても、なんだかヘンだと、業界にいるボクでも思っている。
まあ、それでも会社は公共を捨てて、常連さんや指名客を捨てて、乗務員の生活を選択した。そう考えると、それはそれで正義なのだろう。
実は、本当は、秘密だけれど、エッセンシャルワーカーじゃないんです。という自白?
そのロゴにボクたちの姿を探したりしていること、そのこと自体が、ボクたちの存在、存在意義、社会的位置の希薄さの証明なのだろうと考えると、さらに寂しさが募るのだ。ふん、わかった。もうイジケテやるもんね。
マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや 寺山修司
ハンドル握るつかのま道に闇ふかし身捨るほどの会社はありや 田原笠山