事前確定運賃 係数と運賃について
タクシーの事前確定運賃がメーター運賃より高い、けしからん…
というツイートで賑わっているTwitter界隈です。何度か考察したのですが、この運賃差と、確定運賃の必要性を考えてみます。
事前確定運賃とは
タクシー乗車前に運賃が確定するのがこのシステムです。これは利用者の「運賃に関する不安」を解消することが第一の目的です。
次に、旅行代金等をタクシー運賃込みで販売できるようになります。これまでの飛行機、電車、バス、ホテル等は、あらかじめ料金が決まっているので提示、販売することができました。ところが、タクシーの「時価」の値段が決めにくかったという問題が起きていました。(そうすると、どうしても高めの設定になってしまう)
さらに、定額運賃は運転者の安心にもなります。運賃と経路が利用者とのトラブルの原因です。これは、運転者の品質を担保することにもなります。「運転手によっては」ということをなくす、つまり、均質化です。
これらは、利用者のみならず、運転者にも業界にもメリットがあります。
事前確定運賃の係数
ただ、運賃の設定に課題があると考えています。つまり、「メーター運賃より高い」場合がある、ということです。
これは、係数というのが「けしからん」の原因になっているようです。では、この係数はどのように求められるのでしょうか?
総運賃収入額(総運送収入額から深夜早朝割増及び料金等の額を除いたもの。)/推計総距離制運賃額(時間距離併用制運賃を除くこととし、全申請事業者の実績年度の総初乗り運賃収入額を考慮するものとする。)
もう少し短くすると、次のようになります。
総運賃収入額/推計総距離制運賃額=係数
つまり、実際にもらった距離制分の運賃収入/計算上の距離制運賃額、になります。この係数が1より高いのは、距離制で計算するより高かった、ということなんです。距離で計算すると1000円で行くところが、1200円もらった。この場合、係数は1.2になります。
結論として
とすると、高くもないんです。では、「ぼったくり」だから安くした場合、収入も減りますよ。それはそれで利用者の利便性は高まるんですが…
そう考えると、事前確定運賃が悪い、のではなく、実は係数に問題があるのではないでしょうか。多くの人が言う「ぼったくり」をなくすためには、距離式にすれば良いだけなんです。そうしたところで、「アプリの選択ルートが間違ってる」そして「高い」となるのでしょうが…。
確かに、熟練した地理知識のあるドライバーなら安く行けるでしょうが、利用者の不安を考えると、それに「東京の地理を全て憶えられるわけがない」のだから、事前確定ルートと運賃は双方にとっての安心感につながると思うのですが?
じゃあ、併用制にして安いほうを、とか?それに、利用者が選択するのだから…
と、多くの人が「係数」を誤解しているようなので…
一般乗用旅客自動車運送事業の事前確定運賃に関する認可申請の取扱いについて 中運局公示第6号

