アナログライドシェアについて
タクシー不足解消を目的とした日本型ライドシェアが、都市部で時間を限定し始まって半年がたちます。
タクシー不足は、都市部だけではなく、地方でも深刻化しています。理由は、運転手不足です。そして、不足ではなく、バス路線の廃線や減便で移動できない人も増えています。移動の地域格差も拡大しているようです。
日本型ライドシェアは、ライドシェアドライバーと車両を既存のタクシー会社が管理する方法で行われています。そのうえで、利用者とライドシェアドライバーはスマホの配車アプリを利用します。
図1 日本型ライドシェア(国土交通省資料)
配車の歴史
初期の配車は、利用者が電話し、各タクシー会社の無線室が受電、各タクシー会社所属の車両に配車、という方法です。
次に、GPSを利用した配車システムが登場します。しかし、これは利用者と無線室の電話でのやりとりまでは同じです。そこからが「音声無線」ではなく、パソコン上に表示されている車両に利用者の情報を送る方法になりました。情報の送受信と言っても、初期には車両にはナビがなく、3インチ程度のディスプレイ上に文字と方向を表示するだけのものでした。
タクシー車両にナビを搭載するようになると、利用者の位置情報をナビ上に送り示すようになりました。このシステム、カーナビとGPS-AVMによって、タクシー業務は変化します。具体的には、地理知識を必要としなくなりました。特に、配車係は地理よりもパソコンの知識、検索技術が求められるようになりました。
時期を同じくして、スマホが登場し、間もなくGPSを使ったアプリ配車が登場します。
スマホ配車の歴史
2011年に配車アプリGOの全身である全国タクシー配車がリリースされました。同じような時期、タクシー会社各社似たようなアプリを開発します。
しかし、当時のスマホ配車は現在のものとは少し違います。この頃は、電話の替わりにアプリを利用したようなものでした(この考え方がアプリ配車を混乱させました)。利用者の位置情報を無線室のパソコンで受信、そこから配車システム(音声やGPS-AVM)で配車を行っていました。このような仕組みのため「半自動」なんて言われていました。(地方では、長らくこのシステムを使用していました)
そして最近では、利用者⇔運転者、双方がスマホを利用するようになりました。つまり、タクシー会社不在の配車と言えます。
スマホと電話
こうして、現在はスマホアプリと電話での配車が混在しています。
ただ、日本型ライドシェアはスマホを使います。ところが、その「スマホ」という点で問題が生じました。つまり、利用者とタクシー車両にスマホがない、ということです。
日本型ライドシェアでは、タクシー車両と自家用車が混在します。どちらにするか利用者が選べるとしても、スマホがないタクシー車両では、アプリ配車を受けることができません。
また、スマホを持たない、あるいはアプリを使うことが困難な人たちもいます。そういった人たちも、アプリ配車を申し込むことができません。
アナログライドシェア
スマホがない、使えないという、ふたりの問題をどうするのか?これを解決するのが、電話でもライドシェアを利用できるアナログライドシェアです。
例えば、タクシー8台とライドシェア車両2台、合計10台が走っています。電話だけの人は8台分しか分けてもらえません。スマホを使える人は10台分分けてもらえます。これでは不公平です。そしてこの不公平さを解消するのがアナログライドシェアです。
このことは、日本型ライドシェアの理念ともマッチします。つまり、タクシー不足解消と移動の確保です。
また、タクシー会社にも設備投資の負担を減らすことができます。タクシー車両全てにタブレットを架設する必要がありません。ライドシェアドライバーを雇用すれば良いだけです。
図2 アナログライドシェア(配車アプリを使わない日本版ライドシェア の導入ガイドライン 国土交通省)
タクシー不足解消
問題はあるとしても、目的はタクシー不足解消です。そのタクシー不足は車両ではなく運転手不足です。そのために日本型ライドシェアということを考えました。そして、アナログライドシェアも始めました。
タクシー不足解消とタクシー事業存続のための一手、そう考えると、分かりやすいと思うんですが…。まあ、それでも出来高制歩合給という賃金制度は供給量を増やすこと敏感になるのも、分かるんですが…。