地方のタクシー運転手
地方のタクシー運転手の話を聞いてくれます?
最近、タクシー運転手不足の原因が低賃金だと言われています。しかし、そうだとしても地方のタクシー運転手の賃金をどのように上げるのでしょうか?
例えば、タクシー運転手の年収の全国平均は419万円です。しかし、東京の586万と石川県の230万円では350万円の差があります。1この350万円、いや100万円でも…。
図1 タクシー運転者年間賃金推計額
低賃金が運転手不足の原因だとするのなら、地方のタクシー運転手の不足は深刻化し加速するのではないでしょうか?
なぜならば、運転手の賃金が、出来高歩合給だからです。ということは、需給差がそのまま賃金差になります。つまり、都会ほど儲かるのです。
賃金=売上
賃金が売上に比例するので、賃金を上げるには次の3つの方法が考えられます。
- 需要を増やし実車率を上げる
- 運賃を上げる
- 賃率(歩率)を上げる
現状では、2の運賃を上げることでしか解決は難しいのではないでしょうか?
タクシーの増加=実車率の低下
しかし、今起きていることは供給量を増やすライドシェアの導入です。その結果、実車率が下がり運転手の賃金も同じく下がっていきます。そのライドシェアは日本型と言われるタクシー会社管理のものですから、売上総額の変化はわずかです。つまり、タクシー運転手の賃金だけが下がります。このことが、さらなる運転手不足の要因になります。
また、タクシー不足という理由で運転手を増やし続けても同じです。供給過多になれば共有地の悲劇が起こります。こうした理由から、タクシーは供給制限を行っています。
需要量は増えるのか
今後、地方部の需要量が増える見込みもありません。国内外の観光客の増加も一部の地方だけでしょう。タクシー運転手も減りますが、利用者も減っていきます。そうした状況で「過疎地や田舎でライドシェア解禁」をすれば、次に起きることはタクシー会社の倒産です。
タクシー会社がなくなると、移動手段自体がなくなる恐れもあります。移動権が脅かされる事態になるということです。
地方のタクシー運転手
今、地方のタクシー会社ではデマンド交通、コミュニティバスなど地域住民の移動権を守る仕事をしています。それができるのは、タクシー事業があるからです。運行管理や乗務員の雇用をタクシー事業で行っているからです。タクシー業務と並行して行っています。だから、安くできると言えます。
これが単独事業になると、今の原価での運行は難しくなるでしょう。そうなると、その過疎地や田舎の住民の負担が増えることになります。結局、住民の移動権を脅かさながら、住民負担が増えるのです。
そしてその未来は地域の消滅です。そのことを分かっているので、地方のタクシー運転手は踏ん張っているとも言えます。ですから、軽々に「ライドシェアは田舎で、過疎地で解禁」と言われたくないのです。いえ、消滅の覚悟や対策や合意があれば、それはそれで仕方ないかもしれないと、ボク個人は考えています…。

