善根宿の夜(13日目の4)

善根宿の夜、狭い空間で見ず知らずの人と眠る、それが難しい人もいるだろう。ボクも苦手だ。しかし、歩き疲れて辿り着く善根宿の夜や、遍路小屋の夜は、早々と眠ってしまう。だから、相部屋の人との会話も避けらた。ただ、相手が話しかけてくる場合もあったのだけれど。

""西岡善根宿のベッド、</p

(西岡善根宿 現在はありません)

善根宿の夜

19時にはボクはもう睡魔に襲われていた。ウトウトしながら、同宿のプロ遍路氏と少しだけ話した。プロ遍路氏は、なかなか寝付かれないようだった。部屋の電灯は0時過ぎまで点っていたし、早朝4時頃には点いていた。

それだけならばいいのだけれど、ラジオの深夜番組を聴き始めた。そしてそれは電灯が点く4時までも、さらにその後も聞こえていた。

マナーについて話していた人とは思えない行動だった。しかし、ボクは先輩遍路氏に対しての敬意を表して沈黙していた。ボクがラジオを聞けば良いだけの話だ、そう思った。

そして眠る。またラジオの音や、プロ遍路氏の物音で目が覚める。そしてまた眠る、という繰り返しだった。

プロ遍路氏は4時に電灯を点けて髭を剃っていた。そしてなにか読んでいるようだった。5時過ぎたらゴソゴソとザックの中から何かを取り出す音が聞こえる。それからパッキングを始めた。何度も何度もやり直すので、病的だった。なかなか良い感じに荷物の位置が決まらなかったのだろう。

そんな西岡善根宿の夜だった。

そして寝不足の朝

ボクはもうその時点でハッキリと目がさめていた。いつ起きようかと、タイミングを見計らっていた。そして、6時過ぎに起き出した。

「おはようございます」とボクは言った。
「おはよう」と聞こえた。

ボクはしばらく氏の様子を壁にもたれかかって見ていた。何度かやり直した。50リットルほどのザックに銀マット、テント、予備のバックは外にくくりつけていた。恐らく15キロは超えているのだろう、その重量がパッキングを難しくしているようだった。

ボクも寝袋を片付けた。そしてパッキングする。10分ほどで終わってしまった。それから顔を洗い、出発の準備をした。線香を上げて、神棚の賽銭箱に宿泊代300円を入れた。

プロ遍路氏は、宿泊ノートに何か書いていた。なぜ4時に起きて何度も何度もパッキングしたのか分からなかった。ボクを起こすための嫌がらせか、とも思ったりした。

出発、プロ遍路氏との別れ

結局、ボクのほうが先に出発する。「お世話になりました。お先に失礼します」なんて言って、29番札所国分寺に向かった。氏は「ああ」なんて感じの返事をしてくれた。

またプロ遍路という人たちへの嫌悪感みたいなものが生まれた。

雨は上がっていた。いよいよ高知市内だった。ユリさんのところへ行く日だった。そう考えると、また哀しみが蘇ってきた。夕方には逢えるはずだった。

西岡善根宿近くの地蔵様2人
(西岡善根宿近くの地蔵様2人)


(在りし日の西岡善根宿 Google マップ:お地蔵さんはまだあります)


この日の行程と費用

  • 行程:安芸海岸~西岡善根宿(閉鎖)南国市西山
  • 札所:28番 大日寺
  • 宿泊:善根宿泊
  • 費用:1,696円
  • ローソン安芸津久茂店
    • 小岩井コーヒーホット 141円
    • おにぎりカツオ 105円
    • おにぎり日高昆布 110円
    • おにぎり辛子高菜 110円
    • (小計 466円)
  • サンクス芸西店
    • 救急バン 210円
    • スニッカーズ 120円
    • (小計 330円)
  • 道の駅 やす
    • 芋天 100円
    • モダン焼 500円
    • (小計600円)
  • 自販機
    • スポーツドリンク2本 300円

 

毎月21日お接待やっています。松本大師堂 – 香美市役所

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