名古屋タクシー運賃値上げ
名古屋のタクシー運賃値上げが12月5日からに決まりました。
東京交通新聞11月14日付
12月に値上げになるということ
東京より3か月遅れての申請だったのですが、名古屋タクシー協会の天野会長がコメントしているように「1ヶ月遅れの認可まで挽回できた。国交省に感謝したい」になりました。
運転手にとっても「感謝したい」ことだと思います。なぜならば、年末の繁忙期に間に合ったからです。
三河地区は来年になる予定です。価格弾力性の少ない業種とはいえ、2月3月の暇な時期での値上げが利用者離れを起こしはしないかと懸念しているところです。
今回の値上げで、初乗運賃が1011メートル500円、加算運賃が233メートル90円(現行は1031メートル450円、231メートル80円)、改定率11.88%の値上げになります。
次のグラフは東京と名古屋の新旧運賃比較表です。
東京とほぼ同じ運賃体系になりました。
11.88%の改定率で日車営収37,459円に?
東京交通新聞によると、この決定に参考した「利用実態調査」では、平均乗車距離が3.8キロだったそうです。
名古屋地区9月度の輸送実績も3.72キロ、平均輸送回数が20.02回、日車営収33,481円になっています。
Toranouva 11月9日号
これを元に11.88%を乗じると37,459円になります。しかし、そう単純にいかないのが水商売です。それに出来高制賃金なので、出来なければ賃下げになることもあります。
賃金は上がるのか
賃金=営業収入なのでタクシー運賃値上げは賃金上昇に一見なりそうですが、そのまま直結はしません。なぜならば、運賃=単価×回数です。
運賃は単価の一要素で、そのうえ客単価は統制不可能です。運転手の統制可能要素は回数(回数=時間)になります。だから長時間労働に陥りやすいのです。
ただし、その回数も利用者が減る(需要不足)、タクシーが増える(供給過多)で減少する可能性を含んでいます。
考えなければならないのは、
- 回数を増やすこと(利用者を増やす)
- 実車率を上げる(配車効率を上げる)
- 稼働率を上げる(運転手増員、シフトの効率化)
ことです。
ただし、3は個々のタクシー運転手の日車を押し下げます。現在は供給不足が続いています。このコロナ禍で退職者が増えているからです。それに倒産した事業者もありました。
怠惰な経営者は運賃が上がったので儲かるはずだ、給料も上がるはずだ、そう呑気に考えます。そして数年後に経営が悪化して「運賃上げろ」…。
これから
これから、乗務時間の制限も短くなる傾向にあります。
物価は上がる一方です。11.88%、約12%の運賃値上になり、利用者が1割減るなんてことになると、結局は私たちの賃金はあがらないことになります。価格弾力性の低い業種だとはいえ、タクシー運賃値上げ=賃金が上がるとも断言もできません。
結局、丁寧に利用者を増やすことしかないのだろうと考えています。回数こそ増やせるし、増やさなければならない、最重要要素なのですよ。(=稼働率、実車率ということに帰着するんです)それが、名古屋のタクシー運賃値上げで考えたことです。