就活生が「タクシー運転手」に新卒カード切る本当の理由

就活生とタクシー運転手…。イメージの問題なんだろうか?

タクシー運転手のイメージって、「駅の待機場で赤ペンを持って、競馬新聞読んでる」っていうのは古い?

ボクはというと、この業界に入るまでは「地理に詳しい」「街のことを知ってる」「怖い」というイメージを持っていた。

就活生が「タクシー運転手」に新卒カード切る理由「キツい、危ない、稼げない」。そんなタクシー運転手のイメージが、若者の間で変わりはじめている。新型コロナの感染拡大に伴う移動制限によって、タクシー業界は大きな打撃を受けた。2020年度のタクシー業界全体…
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就活生が「タクシー運転手」に新卒カード切る理由

そう言えば、この記事にあるように、「キツい」とか「稼げない」というイメージはなかった。だが「危ない」とは思っていた。そして、おじさんのイメージもあった。

今のタクシー会社に入ってみると、

  1. 地理に詳しくない人も多い
  2. 優しい人が多い
  3. たしかにおじさんが多い
  4. 競輪競艇に負けてる人が多い
  5. 稼ぐ人はキツい
  6. 稼がない人(稼がなくてもいい人)もいる

というイメージに変わった。変わったんじゃなくて、そういった真実を知った。

この10年、タクシー業界は大きく変わり、そして今も大変革期にある。中にいるボクたちでさえ取り残されそうになるほどに。

業界のイメージが変わったのではなく、業界が変わっているのだ。そしてそれが明かされるようになった、ということなんだろうと思う。

そして「お、タクシー運転手良いじゃん」ということになったのだろうか?

新卒者が就職したいほど業界は変わったのだろうか?東洋経済の記事に書かれていない、変化についていくつか考えてみた。

イメージを変化させたもの

1.SNSには(たぶん)若くて(たぶん)カッコいいタクシー運転手が多いんだよなあ(個人的感想です)

「きつい、きたない、稼げない」という人もいるけれど、ツイッターの中には「楽で、自由で、こんなに稼げる」という若い人もいる。

「売上100万円」なんて100万プレーヤも何人もいる。

それに夜の東京のカッコいい画像をツイートしている人もいて、あこがれてしまう。「東京、かっけー」。

そんなツイートを見ていると、タクシードライバーになろうかなあ、なんて、ついつい我を忘れてしまったり…

2.新しいテクノロジーが働きやすい環境を作った

どういうことかというと、

  1. (配車率(配車回数/実車回数)の高まりが)タクシーの稼ぎ方を変えた
  2. 配車システムやカーナビの普及が地理の不安を解消した
  3. ネットという車内での過ごしかたに幅が増えた(競馬新聞だけじゃないぞ)

3.若い社長たち

川鍋会長がタクシー業界のイメージを変えたのも確かだろうね。

そして、かっこいい業界トップの下に、新しい人たちが新しいテクノロジーを使い始めた結果、新しい人たちが集まるようになった、ということなのかもしれない。

4.エッセンシャルワーカーという地位

このコロナ禍で、利用者のイメージもずいぶん変ったのではないだろうか。この記事にあるように「親の反対」→「保護者向けの説明会」で、公共性について説くことができるようになったのでは?

働くという意味は、ただ単に賃金を得る、ということだけではない。例えば、社会貢献という仕事の目的が労働意欲にもなる。社会の公器としてのタクシーで「人を幸せに」する/できる、社会に必要とされている。「そうなんですよ、お母さん」

見えているものは真実なのか

このようなタクシー運転手にもつイメージの変化が、就活生が新卒カードを切るきっかけになっている、のだろう、かもしれない、たぶん、きっと。

しかし、そうは言っても「危ない」職業には変わりない。

そして稼ぎに比例してそのリスクも高くなる。事故だけではなく、乗客からの暴行事件も絶えない。危ないタクドラ・・・。カナヅチで殴られるぞ。

10倍という数字

新卒でタクシー運転手になる人が10年で10倍。最大手、日本交通では50倍。

数字にすると「おおっ、すげえ」なんて感じるかもしれない。だけど……

10倍、50倍といっても、もとの数字が少なかったのと、日本交通は配車アプリやその配車システムなどの開発販売運営会社MoT(株式会社Mobility Technologies)の創立とその後の経営拡大があったので、そちらに新卒の人たちが回っている、ということも考えられるので、けっして多くはない。

ということで、この記事に載っているグラフを利用して、東京のタクシー運転手の増減、女性タクシー運転手の増減、をグラフ化しました。

 

都内主要5社の新卒採用者数と女性ドライバー数のグラフ

10倍、50倍と言っても…。

次に、これに東京のタクシー乗務員数(運転者証交付数)の推移を重ねてみました。

 

タクシー年齢別運転者証交付数 就活生がタクシー運転手に新卒カードを切る理由

少ない、というか、見えないぐらいに少ない。0から1000人で、1000倍なんてことになっていたとしても、見えないほどの数だ。

*数字は以下のサイトの資料を参考にグラフを作成しました。

東京のタクシー 2022 Taxi of Tokyo

東京のタクシー[一般社団法人 東京ハイヤー・タクシー協会]

 

あー、10倍、50倍と言っても、少ないんです、そしてこれから10倍、50倍は難しいんです。天井を打つ…。

天井値なのかもしれないと、思ったり…。

多い少ないよりも

確かにイメージは変った。それでも、相変わらず危ない、キタナい。

そして稼げるとしても長時間労働に夜間勤務だ。会社のやり方がキタナい、ところもある。

  1. 安全な車両
  2. 事前確定運賃もだけれど、事前確定ルートでの地理の不安の解消
  3. 賃金制度改革(出来高制賃金は出来る時はいいのだけれど・・・)
  4. 不当な運転手負担の解消

を更に推し進めて安全で安心な職場環境の整備を行えば……。もしかして……。

まあ、就活生がタクシー運転手に、新卒カードを切るのは良いんだけれど、それなら可能性のある大手で、それか、地方のタクシー会社で地域の人のために「移動で人を幸せに」してもらいたいと、業界でとうとうおじさんになっちまったボクは考えているんだよ。

おじさんと言っても、若手なんだよ〜。

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