コロナ禍のタクシーについて コロナ禍で考えたこと1

コロナ禍のタクシーについて考えてみた。始まりは、2020年2月15日のニュースだった。

都内で新たに8人感染 屋形船乗船のタクシー運転手ら [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

 

都によると7人は、すでに感染が明らかになっている都内在住の70代のタクシー運転手男性とともに、都内の屋形船で開かれた個人タクシー組合支部の新年会の場にいた。

3月2日には、コロナウイルス感染者が1人出ただけで、営業所全体が営業停止になるニュースが流れた。

それをきっかけとして、ボク達の中でコロナ対する意識が大きく変わっていった。「罹ったら会社に迷惑をかける」。コロナ禍でタクシー会社が潰れる。

第一交通、1営業所を2週間休業 北九州で新型コロナ: 日本経済新聞

 

北九州市で1日、60代男性タクシー運転手の新型コロナウイルスへの感染確認を受け、第一交通産業は2日、この運転手が所属する曽根営業所(同市小倉南区)を2週間の営業停止にしたと発表した。

重い空気

未知の病気に感染するということよりも、利用者や会社に迷惑をかけるということのほうが重篤な問題になっていった。そんな空気が社会に漂っていた。その重い空気のほうがボクは怖かった。

それから少しして、薬局やコンビニからマスクが消え、消毒用のアルコールも買えない状況が続いた。3月の寒い朝、薬局には長い列ができていた。ボクも並んでいた。

それから2年後のまん防が解除された2022年3月までは、ボクの周りにはコロナ感染症に罹患したという人がいなくて、感染対策が奏功しているのだろうと、感じていた。

ボクたちもマスクや換気や手洗いうがいをきちんとやっていて(それは今もなんだけれど)、そんな地道な努力の効果に感心したり驚いたりもしていた。

マスク、消毒、換気…、そして2021年になってから、ワクチン接種が始まった。ボクたちタクシー業界も、職域接種やエッシェンシャルワーカー枠で早めに接種することができた。8月だった。

コロナ禍のタクシー

ボクたちの生活のことを書くと、2020年4月から2022年3月ごろまでの2年間は、売上が激減していた。ただ、休業しながら(10日出勤、10日休業、10日休日)その休業した日に対して雇用調整助成金が支給されていたので、楽な感じがしていた。

1か月のうち20日も休みになったので、喜んでいる人もいた。そういう人の何人かは、最初のうちは長期休暇ぐらいに考えていた。「暇でも給料が出る」と喜んでいた。

しかし、身体が楽になっただけで、生活はその間にも少しずつ苦しくなっていった。

1年もすると、今度はその長さにやられてしまう人も出てきた。そして、退職する人も多くなった。「このままじゃ家族を養えないよ」。

それは会社も同じで、3か月とか6か月まではなんとか凌ぐことができたのだろうけれど、1年は長かった。

2021年になると倒産するタクシー事業者が出てきた。ボクたちには雇用調整助成金による休業手当が支給されたのだけれど、企業にはまとまった金額の補助金がなかった。従業員という家族を養えなくなったのだ。

 

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タクシー事業 都道府県別2019年比 東京交通新聞のデータをもとに筆者作成

春の空気

なんとなく流れが変わったのは、2022年3月のまん防解除後だった。コロナ禍も3年目に入り、倒産する企業も増えた頃、街の空気が微妙に変わり始めていた。

春だから、ではなく、そしてまん防が解除されたからでもなく、まるでコロナ感染症が終息したような、そんな空気が漂い始めていた。

マスクやワクチンに対しても不要、いや、有害ということを説く人も現れ始めた。

そんな中、梅雨明けぐらいから、タクシー運転手の感染の話を聞くようになった。そうしているうちに会社の中でも感染者が出るようになってからは、少しずつ緊張の糸が緩むようになっていった。

緩んでいったのではなく、感染してもいい、という空気がボクたちの中に漂い始めた。

感染してもニュースになることもなく、それどころか、1日に何十人何百人、いや何千人もの感染者が出たとしても、あの頃のようにまん防が出ることもなく、ボクたちは普通の生活を送るようになっていた。

その間にもウイルスは伝染し、感染者は増え続けていった。とうとう岸田首相まで罹患した。

ただの風邪ぐらいに、いや、それ以上に人々が感染している。

嫌な感じ

「感染やむなし」のような空気が流れている。

そういう空気を作り出したようにも感じる。だって、ボクたちがやってきたことといえば、マスクに消毒、換気……。三密を避け、ワクチン接種して……。

空気を作り出した、というよりも、コロナ対策を投げ出した、ように感じる。

感染も防ぐことができず、医療崩壊まで引き起こし、そのことの弊害、例えば移動困難者の増加、移動出来ないでいるから路上で寝てしまう。そして事故。

結局、国民を犠牲にしながら、経済を回す、ということなんだろう。コロナ禍で倒産したタクシー会社もある。

国民の命よりも経済のほうが大切なのだろう。

相変わらず「欲しがりません勝つまでは」「一億総玉砕」精神なのだ。

そして、なぜか、そんな政治をする政党を支持する人が多い。

そして、憲法違反だとしても、閣議決定だとして、国葬を強行する。違法国家、ではなく、無法国家、無能国家に成り下がってしまっている。

ボクたちは疲れている。

国家もだけれど、業界も相変わらずコロナ対策で運転手負担を強いる。

そのことについて、次に考えてみたいと思う。

 

豊橋鉄道市内線 赤岩口車庫
(豊橋鉄道赤岩口車庫 2006年撮影)

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